日米租税条約第十条
1 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
2 1の配当に対しては、これを支払う法人が居住者とされる締約国においても、当該締約国の法令に従って租税を課することができる。その租税の額は、当該配当の受益者が他方の締約国の居住者である場合には、4及び5に定める場合を除くほか、次の額を超えないものとする。
(a)当該配当の受益者が、当該配当の支払を受ける者が特定される日に、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の十パーセント以上を直接又は間接に所有する法人である場合には、当該配当の額の五パーセント
(b)その他のすべての場合には、当該配当の額の十パーセント
この2の規定は、当該配当を支払う法人のその配当に充てられる利得に対する課税に影響を及ぼすものではない。
3 2の規定にかかわらず、1の配当に対しては、当該配当の受益者が次の(a)又は(b)に該当する場合には、当該配当を支払う法人が居住者とされる締約国においては租税を課することができない。
(a)他方の締約国の居住者であり、かつ、当該配当の支払を受ける者が特定される日をその末日とする十二箇月の期間を通じ、当該配当を支払う法人の議決権のある株式の五十パーセントを超える株式を直接に又はいずれかの締約国の一若しくは二以上の居住者を通じて間接に所有する法人であって、次のいずれかに該当するもの
(i)第二十二条1(c)(i)又は(ii)に該当する法人
(ii)第二十二条1(f)(i)及び(ii)に規定する要件を満たす法人で、当該配当に関し同条2に規定する条件を満たすもの
(iii)この3の規定の適用に関し、第二十二条4の規定により認定を受けたもの
(b)他方の締約国の居住者である年金基金。ただし、当該配当が、当該年金基金が直接又は間接に事業を遂行することにより取得されたものでない場合に限る。
4 2(a)及び3(a)の規定は、合衆国の規制投資会社(以下この4において「規制投資会社」という。)又は合衆国の不動産投資信託(以下この4において「不動産投資信託」という。)によって支払われる配当については、適用しない。規制投資会社によって支払われる配当については、2(b)及び3(b)の規定を適用する。
不動産投資信託によって支払われる配当については、次のいずれかの場合に該当するときに限り、2(b)及び3(b)の規定を適用する。
(a)当該配当の受益者が、当該不動産投資信託の十パーセント以下の持分を保有する個人又は当該不動産投資信託の十パーセント以下の持分を保有する年金基金である場合
(b)当該配当が当該不動産投資信託の一般に取引される種類の持分に関して支払われ、かつ、当該配当の受益者が当該不動産投資信託のいずれの種類の持分についてもその五パーセント以下の持分を保有する者である場合
(c)当該配当の受益者が当該不動産投資信託の十パーセント以下の持分を保有する者であり、かつ、当該不動産投資信託が分散投資している場合
5 2(a)及び3(a)の規定は、日本国における課税所得の計算上受益者に対して支払う配当を控除することができる法人によって支払われる配当については、適用しない。当該法人の有する資産のうち日本国内に存在する不動産により直接又は間接に構成される部分の割合が五十パーセント以下である場合は、当該法人によって支払われる配当については、2(b)及び3(b)の規定を適用する。当該法人に係る当該割合が五十パーセントを超える場合は、当該法人によって支払われる配当については、次のいずれかの場合に該当するときに限り、2(b)及び3(b)の規定を適用する。
(a)当該配当の受益者が、当該法人の十パーセント以下の持分を保有する個人又は当該法人の十パーセント以下の持分を保有する年金基金である場合
(b)当該配当が当該法人の一般に取引される種類の持分に関して支払われ、かつ、当該配当の受益者が当該法人のいずれの種類の持分についてもその五パーセント以下の持分を保有する者である場合
(c)当該配当の受益者が当該法人の十パーセント以下の持分を保有する者であり、かつ、当該法人が分散投資している場合
6 この条において、「配当」とは、株式その他利得の分配を受ける権利(信用に係る債権を除く。)から生ずる所得及び支払者が居住者とされる締約国の租税に関する法令上株式から生ずる所得と同様に取り扱われる所得をいう。
7 1から3までの規定は、一方の締約国の居住者である配当の受益者が、当該配当を支払う法人が居住者とされる他方の締約国内において当該他方の締約国内にある恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該恒久的施設と実質的な関連を有するものであるときは、適用しない。この場合には、第七条の規定を適用する。
8 一方の締約国は、他方の締約国の居住者である法人が支払う配当及び当該法人の留保所得については、これらの配当及び留保所得の全部又は一部が当該一方の締約国内において生じた利得又は所得から成る場合においても、当該配当(当該一方の締約国の居住者に支払われる配当及び配当の支払の基因となった株式その他の持分が当該一方の締約国内にある恒久的施設と実質的な関連を有するものである場合の配当を除く。)に対して租税を課することができず、また、当該留保所得(9の規定により租税を課される所得を除く。)に対して租税を課することができない。
9 一方の締約国の居住者である法人で、他方の締約国内に恒久的施設を有するもの又は第六条若しくは第十三条1若しくは2の規定に従い他方の締約国においてその所得について租税を課されるものに対しては、当該他方の締約国において、この条約の他の規定に従って課される租税に加えて租税を課することができる。ただし、当該租税は、当該恒久的施設に帰せられる利得及び第六条又は第十三条1若しくは2の規定に従い当該他方の締約国において租税を課される所得のうち、これらの利得又は所得に係る活動が法律上独立した団体により行われたとしたならば支払われたとみられる配当の額に相当する所得の額に該当する部分についてのみ課することができる。この9の規定は、次のいずれかに該当する法人については適用しない。
(a)第二十二条1(c)(i)又は(ii)に該当する法人
(b)第二十二条1(f)(i)及び(ii)に規定する要件を満たす法人で、当該所得に関し同条2に規定する条件を満たすもの
(c)この9の規定の適用に関し、第二十二条4の規定により認定を受けたもの
10 9に規定する租税は、2(a)に規定する率を超えて課することができない。
11 一方の締約国の居住者が優先株式その他これに類する持分(以下この11において「優先株式等」という。)に関して他方の締約国の居住者から配当の支払を受ける場合において、次の(a)及び(b)に該当する者が当該優先株式等と同等の当該一方の締約国の居住者の優先株式等を有していないとしたならば、当該一方の締約国の居住者が当該配当の支払の基因となる優先株式等の発行を受け又はこれを所有することはなかったであろうと認められるときは、当該一方の締約国の居住者は、当該配当の受益者とはされない。
(a)当該他方の締約国の居住者が支払う配当に関し、当該一方の締約国の居住者に対してこの条約により認められる特典と同等の又はそのような特典よりも有利な特典を受ける権利を有しないこと。
(b)いずれの締約国の居住者でもないこと。